2016年09月07日 天宮大明神
平成19年3月30日に松本市重要無形民俗文化財に「奈川獅子」として指定された信州奈川寄合渡のお祭りを紹介します。
その昔・・・
実りの秋、豊作を目前にしたこの地に一頭の大獅子が現れ農作物を荒らし人々を苦しめました。
困り果てた村人がこん棒片手に立ち上がり大獅子を仕留めるまでを約2時間かけ五節の獅子舞で演じます。
見どころ1
笛、太鼓の演奏に合わせ大人と子どもが手踊りと獅子舞の2種類を舞います。
見どころ2
他にないスピード感と迫力が圧巻です。舞の最中天狗がいたずらしたりする姿も楽しい。
見どころ3
①祇園囃子(獅子が田畑を荒らし村人を苦しめている様子)
②きよもり③よしざき(腕利きの村人がこん棒を手に獅子と争うが中々討ち取ることができなかった。そこへ天狗が現れ獅子を惑わしようやく討ち取ることができた )
④獅子殺し 切り返し(村人は喜び手柄話に花を咲かせるが討ち取ったはずの獅子が生き返ってしまった)
⑤薙刀(村のなぎなた名人は再び大獅子に立ち向かう。天宮大明神の天狗から薙刀を授かり死闘の末ついに獅子を退治する
お祭り開催の二百十日(立春から数えて210日目)の時季は稲の開花結実にあたりますが台風襲来が相次ぎ農作物が被害を受けてしまうことがよくあり昔から農家の厄日とか荒れ日などといわれています。
しかし村人の思いは天に通じ雨が降ったりしても獅子を舞う頃になると必ず晴れるといいます。
大獅子は悪者に見えるが民話神話世界の霊獣でもあり殺すのではなく獅子に宿った災厄を祓い除くための祈祷でもあり五穀豊穣、家内安全を願い氏神の天宮大明神に獅子舞を奉納しています。
今年新調した桐一刀彫りの漆塗り獅子頭 作れる職人は現在高山に一人のみらしい
右は今まで使っていたもの
この獅子舞は数年前までは寄合渡地区の人たちだけで舞っていましたが少子化に伴い奈川全戸の子どもたちに呼びかけ繋いでいます。
外に家を構えている若い世代も祭りの数ヶ月前となると仕事を済ませてから練習と次世代を担う子どもたちへの指導のため実家に帰ってきます。
親から子そして孫たちへと代々受け継がれてきた奈川の宝「奈川獅子」を絶対に絶やしてはならないという熱い思いがあり氏子と寄合渡壮青年たちは強い絆で結ばれています。
日時:9月第一土曜日午後8時から ※以前は二百十日(9月1日)
場所:長野県松本市奈川寄合渡地区の氏神「天宮大明神」境内